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人事制度Q&A

V.退職金制度について

ご質問  当社は、税制適格退職年金を導入しています。平成24年までに他の制度に移行しなければならないようですが、まだ7年あまりも先なので、その間にいろいろ考えようと思います。最近、取引先の生命保険会社からよく401Kを進めに来るのですが、大丈夫でしょうか?当社のような中小企業に適した退職金制度はないでしょうか?
(岐阜県・建設業・80名)
回答 ご存知の通り、確定給付企業年金法が14年に施行され、税制適格年金は24年3月末までに他の制度に移行しなければなりません。

【過去勤務債務額の確認】
まず、確認していただきたいのは、御社の過去勤務債務額(将来支払う退職金のための準備で不足している金額)です。契約している保険会社に申請すれば、文書にて回答いただけます。この金額が多ければ多いほど、放っておくと将来の御社の資金繰りにも影響を及ぼしかねませんので、早めに今後の退職金制度をどうするのかを検討することが急務です。

【今後の適格年金移管先の検討】
次に、適格年金の移行後の制度ですが、( 1 ) 厚生年金基金、( 2 ) 確定給付企業年金(基金型・規約型)、( 3 ) 中小企業退職金共済、( 4 ) 確定拠出年金(401K)以上の4つの移管先があります。

ご相談にあります「401K」ですが、現在、企業型年金加入者数:1469000件、実施事業主数4744社の実績があります(17年/7月現在の実績)。企業側の一番のメリットは、過去勤務債務額が発生しないということでしょう。また反対にデメリットとしては、拠出額の他に導入コストや運用コストが発生し、従業員に対して自己責任で掛金を運用を任せるということです。

最近のデーターによりますと、401K導入企業における資産運用先の半数が定期預金だそうです。この事実から分かるように日本人の投資レベルの低さを物語っています。他にも基本的には60歳まで年金が支給されないということも煩わしさがあります(脱退一時金の受給もあります)。

【新制度による予想支払退職金額のシミュレーション】
よって、私の見解では、中小企業にとっては401Kの導入は難しいと判断します。中小企業にとってお勧めなのが(3)中小企業退職金共済への移行が適切でしょう。今年4月には、適格年金の積立金すべてを中退共へ移管できるようになりましたので、移管が大変スムースになりました。もちろん、中退共だけの積立だけでは、支払退職金が不足するケースもあろうかと判断します。実際に、各人の将来の支払退職金をシミュレーションし、不足する部分は例えば、生命・損害保険等の商品を活用することが色々な視点で検討した結果妥当と判断します。

【退職金水準および退職金規程の見直し】
また、移管時には、退職金規程の見直しも必要になります。つまり、退職金の支払水準を見直すかどうかの問題になります。支払い水準を下げる場合は、労働組合や従業員と十分に話し合い、会社の現状や今後の会社・人事方針を説明する必要があります。承諾もなく下げますと不利益変更になる可能性もありますので、よく慎重に対応して下さい。
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ご質問  当社の退職金算定方式は、基本給×勤続係数です。3年後に退職する営業部長で約800万円です。最近は、退職金の前払いや廃止までもが言われています。基本給連動方式は、年功的なので、変えたいのですが、どのように考えたらよいのでしょうか?
(愛知県・卸売業・60名)
回答 【退職金制度の意義・目的の再検証】
制度改善を実施する前に、[1]当社にとっての退職金制度の意義や目的を検討する必要があります。退職金は、そもそも就業規則上、必ず必要ではありません。例えば、(1) 退職者の老後生活費を補うためのもの、(2) 永年の功労に対する褒賞として、(3) 世間並みの労働条件を整えるために(採用に不利がないように)等があげられます。場合によっては、制度を導入しないことも検討されます。

【退職金水準の見直し】
次に[2]退職金支給水準の検討が必要です。この判断基準は、(1) 自社の支払い水準(資金繰りへの影響を勘案)、(2) 世間相場、(3) 経営者の考え(支給したい金額)、以上をもとにご検討下さい。
参考までに、東京都労働経済局の退職一時金の支給金額(平成14年)を申し上げます。
高卒: 勤続42年(60歳定年) 12,141千円
大卒: 勤続38年(60歳定年) 13,732千円
これからの経営は、今までと違って退職金に重きを置く時代ではありません。「最低保障+功労金」という考え方が妥当であろうと考えます。

【退職金支給ルールの見直し】
[3]支給ルールの検討を最後に決定してください。基本給に連動しない方法としては、
(1) 別テーブル方式(定額×係数)
  (長所)管理運用がしやすい。
貢献度(資格・職位等)・実績・能力に反映できる。
(短所)場当たり的な昇進・昇格等を行うと
退職金額に影響する。
(2) ポイント制方式(定額×係数)
  (長所)貢献度(資格・職位等)・実績・能力に
反映できる。資格等級制度に連動する。
(短所)管理運用が煩雑になる
(長期間のポイント管理が必要条件である)
(3) 勤続年数+貢献度方式
(基礎退職金+勤続期間中の評価による加算金)
  (長所)管理運用がしやすい。
基礎退職金と加算金の割合は自由に決定できる。
(短所)資格制度とリンクしていない。
以上3つが基本給に直接連動しない退職金支給方式です。方式の長所、短所はあるものの、御社のような中小企業であると、(3)の勤続年数+貢献度方式をお勧めします。基礎の退職金は、勤続年数で算出、貢献度は、従業員の人事評価の結果(勤続年数別)で、5段階で算出する。会社の方針によっても変わりますが、基礎退職金と貢献度による退職金の割合は、勤続年数20年、評価結果B(5ランク中)において5:5程度に設定することが望ましいです。一度、ご検討下さい。
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